種族

作中に登場する主な種族は、“神界人”、“魔族”、“人間”、“天界人”、“魔法使い”、“精霊族”だが、
他にもこの世界には様々な種族が存在し、ほとんどの種族が人間に近い容姿をしている。
その理由は解明されていないが、いくつかの種族は先祖を辿ると人間の能力者だったのではないかという説が有力である。

異種族間のハーフは稀にいるが、どの世界でもあまり歓迎されない。その場合、魔界へ流れることが多い。

界人


一般的に『神』と呼ばれている種族で、魔族と並び強大な力を持っている。
多大な影響力を持つこの世の最上位の種族であり、世界の均衡を保つ役割を持つ反面、
利己的な面も持ち合わせ、下位の種族には権力を笠に着る傲慢な種族と見られることもある。

それぞれに属性(象徴とするもの)があり、その属性に伴った『神力』という特別な力を持っている。
※神力については魔法の種類参照

最高神であるグロティウス一族が最も高位の存在であり、三大神(運命、時間、守護)が続き、
その下に神界王(現在は水の神)、同列に神界王とほぼ同等な力を持つ神々(主に自然に関係する神など)が並び、
さらにその下にたくさんの神々が連なる、魔族と同じく力関係で成り立つ階級社会である。
とはいえ一枚岩というわけではなく、大まかには神界派と独立派に分裂している。
神界派は神界に住み、神界王に従属している神々のことを指す。
独立派は最高神にのみ従属意思を示す者、または神界王に不満を抱いている者、派閥争いに興味が無い者のことをそう呼ぶ。
独立派の神々は神界には住まず、他の世界へ渡ったり、自らの亜空間を創り静かに生活している。
物語の冒頭で、魔界による神界の襲撃によって神界派の神々の大半は命を落とした。

“神界王”は世襲制ではなく、最高神によって任命される。※どの一族から選出されるかはある程度決まっている。
王とはいえ仮初の権威に等しく、最高神や三大神のためにその身を尽くすことになる。
在位期間はその時代の情勢によって様々。

魔力の素   :髪
ヴァラヴェル :白く輝いた宝石の欠片
使用魔法   :神力、光魔法
寿命     :不老不死


魔界に住む者の総称で、負の象徴として神界人とは対となる存在。
他の世界から邪悪な力を持つ異端の者として否定され、排斥されてきた者たち。
非情さや残虐性が際立つ者が多いが個人主義でもあり、他人に干渉せずただ静かに暮らすことを望んでいる者も少なくない。

魔界で最高権力を持つアダムス一族が率いる『デルブランカ』は、魔族屈指の精鋭が所属する強力な軍隊で、
魔界最高権力者であるナトルプの意に従い他の世界への侵出を目論む。
基本的には力関係で成り立っている軍を中心とした社会だが、ナトルプ直轄の組織である元老院が強い発言権を持っている。

人型の魔族は耳が小さく尖っており、日の光がほとんど当たらないためか肌が白い者が多い。

多くの者はそれぞれに属性(象徴とするもの)があり、その属性に伴った『妖力』という特別な力を持っている。
※妖力については魔法の種類参照

悪魔・妖魔

魔族の大半を占める者たち。魔界の各地で属性(象徴とするもの)が近い者同士が部族を形成している。
純血種の悪魔は今では希少であり、一部の一族は軍の庇護下にある。
妖魔は自然界の現象を象徴とする者が多く、妖力が強い。そのほとんどが人を惹きつける美しい容姿をしている。
しかし魔族間での軋轢も根深く存在し、かつて妖魔は悪魔から蔑視されていたことから、
中央都市から遠く離れた地で暮らす部族は大半が妖魔の一族である。

魔力の素   :瞳
ヴァラヴェル :紅く輝いた宝石の欠片
使用魔法   :妖力、闇魔法
寿命     :不老不死

半妖

半分は本性である動物、もう半分は人間の性質を持っており、どちらの姿にも変化する魔物。(混血ではない)
魔界に住まう者たちは妖力や闇魔法を使い、ヴァラヴェルを有する者もいるが、似たような生き物は人間界等にも存在する。

魔力の素   :瞳
使用魔法   :妖力、闇魔法
寿命     :不老不死

吸血鬼・鬼・魔獣・妖怪など

遥か昔、どこかからやってきて魔界に住み着いた種族たち。
体内にヴァラヴェルは有せず、魔力の素や使用魔法、寿命などもそれぞれ異なる。


人間界に太古の昔から存在している種族で、知を持つ生命の全ての始まりである種族ともいわれる。
あらゆる種族の中で最も身体が脆く弱い生き物ではあるが、時には神や魔族すら凌駕するほどの力を発揮することもある。
大半の人間は、他の種族や世界の存在を認知していない。また、正負の気質をバランス良く併せ持つ稀な種族である。

誰もが自身の心・体から放出される独特な“気”と呼ばれるエネルギーを宿していて、
更にそれを体外に強く出現させることができる者を“能力者”と呼ぶ。
能力者はその特異な体質に目を付けられ、高額で取引きされることも多々ある。差別や偏見の対象になることも珍しくない。

また、肉体を離れた霊魂のみでも存在を持続できる唯一の種族でもある。

魔力の素 :気(自身から発散されているエネルギー)
使用魔法 :無し/能力者により異なる
寿命   :約80歳

界人


その昔、神に従属する者として神につくられた種族であると伝わっている。
穢れを知らない種族といわれ、一度でも人を殺すと穢れに取り込まれるので、殺生は禁忌とされている。
妖気や邪気は天界人の身体には毒のようなものなので、余程のことが無い限り魔界に行くことは無い。
良くも悪くも純粋な気質で正義感が強く、不条理な事柄に対して強い嫌悪感を抱く。
天界人の男性は長髪が基本で、短髪は心証が悪い。理由は、神に翼の生えた背中を見せることは無礼とされているため。
同じく男性のみの特徴で、普段は普通のヒトの手の形をしているが、実は戦闘に特化した鋭い爪を持っている。

天界総括役として天界神(神界士)がいて、その下に天界の国務全般を任されている王族がいる。
王族は神界王に従い、魔法使い界と協力して魔界に対抗する戦力または盾として扱われている。
他の天界人の主な仕事は、各世界(魔界等は除く)で死んだ者たちの魂を天界にある“シャンヴァル”という場所に導き、
転生の手助けをすることであり、魔界との関わりは薄い。

神に従属する種族の中で、最も神に近い位置にいるため、天界王家には厳しい掟が定められている。
けして神に逆らうことの無いよう、堕天しないように、特に王位継承権を持つ男子は厳しく躾けられる。
不老長寿の種族であるため、百年ほど世継ぎが生まれないことはさほど珍しくない。
天界王から天界神への昇格は、最高神と神界王によって決められるので、代替わりの間隔は神の気まぐれで時代によって様々。

魔力の素 :翼
使用魔法 :光魔法
寿命   :不老長寿(約2500年)

堕天使

天界人が神を裏切った形で天界を離れると、その咎として翼が赤く染まり、堕天使と称される。
堕天使になると寿命が少し減るが、妖気や邪気の影響を受けなくなる。
ほとんどの堕天使が魔界で生きるか、死を選ぶかのどちらかである。
王族ほど堕天する可能性は高いといわれている。実際に神を快く思っていない天界人は少なくない。
一部では、本来の天界人の気質が顕著に表れた姿だという見方もある。

魔力の素 :翼(血のような赤)
使用魔法 :光魔法
寿命   :不老長寿(約2000年)

法使い


魔族と似たような容姿で、同じく闇魔法を扱う、数ある種族の中で最も魔族に近い種族。
しかし、神界と同じく魔族との因縁が深く長い争いが続いている。
魔術師や賢者などと呼ばれたりすることもあるが、“魔法使い”が一般的。

種族として純粋な力は魔族に劣るが、独特の闇魔法(独自に開発されている多数の魔法式・魔法具など)により、
長きに渡る魔族との争いにも活用され、十分に対抗できる力となっている。
それは元来、多数に分裂していた国家間同士での紛争により発展したものであり、
今でこそ六つの国家で平和協定を結び友好関係が成り立っているが、種族内での遺恨も多く残っている。

魔族に対抗する戦力として、六つの国家から集められた魔法使いの精鋭たちを中心に軍が編制されている。
最近、新たな総督にシュオンドル国の若き王子が就任した。

魔法使い界は太陽光が弱いため、魔界を除く他の世界の強い日差しに弱い。
暗色系の髪色を持つ者が多く、その色が濃いほど魔力が高いとされている。
最も濃い色である黒髪は、第一国家であるシュオンドル国の王家ラクスネス一族にのみ代々受け継がれている。
数百年に一度、魔法使い界では本来生まれるはずのない金髪の子供が王家に生まれることがあると一族に伝わっている。
金の髪を持つ者は魔族や神界人にさえ匹敵する強大な魔力を有するが、その世代に必ず災いを招くともいわれている。
あくまで伝説として伝わる不確かなものであり、実際に金髪を持って生まれたとされる王族の記録はほとんど残っていない。

魔力の素 :髪
使用魔法 :闇魔法
寿命   :不老長寿(約2500年)

霊族


実体が無い精霊(身体を持たない)が多い中で、主に実体を持つ生命体のことを指す。
姿形、寿命や出生などは様々で、人間界の各地で人里からは離れた場所で生活している。
美しい姿をした者が多いといわれている。人型の精霊の大半は長い耳と睫毛が特徴的。
精霊族は気温の影響をあまり受けない体質で、周囲の環境に身体の機能を順応させることに特化している。

人間と違い、外部から吸収した自然界のエネルギー(気)を元に精霊族独特の魔法を扱う。
ほとんどの者が生まれた環境に基づいた属性を持ち、それに準じた魔法を使う。
精霊族の王と呼ばれるとある一族は、ほぼ全ての自然エネルギーを自身の力に取り込むことができるといわれており、
精霊族の中でも特出した存在で、上位の神や魔族に匹敵する力を持っているらしい。
噂では最高神と密接な関わりを持っているようだが、子細を知る者は少ない。

精霊族同士は住む場所が離れていると交流が少ないので、外側から見ても内側から見ても謎が多い種族ではあるが、
彼らのネットワークは広大であり、噂程度であればすぐ広まる傾向にある。
基本的にあまり他種族と深く関わろうとしない性質だが、人間が好きな者は多く、密やかに手助けをしたり悪戯をしたりする。

魔力の素 :気(主に自然が放出しているエネルギー)
使用魔法 :精霊魔法
寿命   :不老不死(例外有り)

補足


・神界人、魔族、精霊族の生まれは多種多様であり、必ずしも親が存在するわけではない。
・魔族が天界人の心臓を喰らうと力が増幅し、天界人が魔族の心臓を喰らうと黒い翼を持つ悪魔になるといわれている。

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