- Character -

クレイ

クレイ

- Cray -

妖しく美しい悪魔。
本人の意思に関係なく、関わる者を魅了し死へ導く。
弟のことを大事にしているが、
その愛情表現は独善的。
繊細に見えるがそうでもない。
トゥーラ

トゥーラ

- Toela -

十歳離れたクレイの弟。
天使を毛嫌いしている。
幼い頃から孤独な時間を過ごすことが多く、兄に対して異常な執着心を持っている。
研究が趣味。二刀流剣術使い。
英斗

英斗

- Eito -

ある日、迷える悪魔の兄弟を保護する。売り飛ばすつもりだったが、絆されてそれぞれに別の愛情を向けるようになる。
クレイには天使であることを隠している。
マドラ

マドラ

- Madra -

離別編よりトゥーラと同居している人懐っこい吸血鬼の少年。
トゥーラに血を貰うかわりに、何があってもトゥーラの味方でいることを約束する。
意外にも面倒見がいい。

- Story -

DEPENDの世界は、創作【十の天紋】の約1500年程前のお話です。十の天紋の世界帯とは異なる世界帯の物語。
※一部、同一の人物が登場します。世界帯についてはこちらを参照。
Chapter 1幼少期編

この世の邪魔者として扱われ、悪魔と呼ばれる種族がいる。
正義を掲げる者たちに住処を追われた彼らは、世界の最果ての地<ヴァルディラ>でひっそりと暮らしていた。
その地でグリフィス公爵家の嫡子として生まれたクレイ。十三歳になるまでの彼を中心とした物語。
クレイは婚約者ティアラと過ごすささやかな平穏を守るため、敵対関係にあるグリフィス家とザザトーラ家の因縁を断ち切ろうと、ザザトーラ家の嫡子でティアラの従兄であるフィズと協力しあう。
しかし弟のトゥーラが生まれたことにより、これまでの三人の関係は徐々に崩れ始め……。

関わる者たちを惑わせ死へと誘う兄弟たちの、短くも幸せな時間を描いた序章。

Chapter 2成長期編

トゥーラを連れてヴァルディラから逃げ出してきたクレイは、英斗と名乗る男に拾われる。
英斗は兄弟二人を匿うが、昏睡状態のトゥーラを人質にクレイを脅し、自分に従うことを強要。
英斗の上司であるロジェの殺し屋稼業を手伝いながら、男娼として闇が蔓延る世界に深く関わっていく。華々しく栄える人間たちの社会の裏ではそこかしこに聖者と呼ばれる天使、そして悪魔の存在が争いの種をまいていた。

最初こそ不遜な態度の英斗を恨んでいたクレイだったが、時折垣間見える彼の本来の人柄に惹かれるようになり、共に日々を過ごすうちに淡い恋心へと変化し始めたその想いに葛藤する。
そんな兄を見て、幼いトゥーラの心は静かに黒く歪んでいくのだった……。

Chapter 3箱庭編

クレイを庇い、命を落とした英斗。
失意の最中、突然何者かに襲われたクレイとトゥーラは<箱庭>という閉ざされた世界に飛ばされる。
クレイは英斗を失った日から立ち直れず、後悔に苛まれる日々を過ごしていた。トゥーラを箱庭の住人から遠ざけるため部屋に閉じ込め、トゥーラが兄との約束を違える度に大切にしていたはずの弟に手を上げてしまう。
一方トゥーラは、嫌悪していた英斗がいなくなったことで、兄がやっと自分だけを見てくれる現状に歓喜する。
いつしか兄への愛情は苛烈な独占欲に支配され、トゥーラは密かに行動を起こすが……。

個性豊かな住人たちと関わりながら、兄弟はそれぞれ別の方法で箱庭からの脱出方法を探している。
長い間内に秘めていたトゥーラの本性がついに牙を剥き、兄弟の関係は大きな転機を迎え――

Chapter 4離別編

三年間過ごした箱庭世界からひとり脱出してしまったトゥーラが中心の物語。
元の世界に帰ってきたトゥーラが最初に出会った人物は、クレイを探すためにヴァルディラから人間の住む地に移り住み、政府の情報機関に潜り込んでいるフィズだった。
トゥーラは箱庭での身勝手な自分を悔やみ、置き去りにしてしまった兄を迎えに行くためもう一度箱庭世界へ行く方法を探すことを決意。
情報機関を通じロジェと会ったトゥーラは、英斗が死んだ日からまだ一か月程しか経っていないことを知る。
ロジェの息子マドラと共に生活するようになり、さらには十年ぶりに実父と再会し自身の出生の秘密が明かされ……。

箱庭の情報や世界移動の方法を得るため、マドラと共にかつて通っていたグラスタン学園に復学すると、再び“天使”と深く関わることで改めて自分の歩むべき道と向き合い始める。
そんな忙しない日々の中、ロジェの口から語られたのは自分達と出会う前の英斗の過去だった。

Chapter 5再会編

トゥーラがただひとり箱庭世界を脱出してから、十年の月日が経った。
別れた時の兄の年齢と同じ年齢になったトゥーラは、ついに世界と時間を移動する術を手に入れる。
あの別離の日から多少のズレは生じたものの、無事箱庭に辿り着いたトゥーラはクレイとの再会を果たすことができた。
しかし同い年の弟にクレイは困惑し、なかなか心を開こうとしない。
かつての失敗を繰り返さないためにも、兄から歩み寄ってくれるのを気長に待つことにしたトゥーラは、とある人物との“約束”のために再び箱庭世界を探索する。
そんなトゥーラの目の前に現れたのは、深手を負い意識を失った英斗だった。

数えきれない程のすれ違いに決着を付けるため、トゥーラは英斗に剣を向ける――

Epilogue..?エピローグ

今度こそ二人で、無事元の世界に帰ってきたクレイとトゥーラ。
それぞれに複雑な思いを抱えながらも、止まっていた兄弟の時間はゆっくりと動き出す。
箱庭で英斗と過ごした不思議な日々は、不器用ながらも離れていた兄弟の心を優しく結び直すあたたかなものだった。

ある日トゥーラは、英斗がひっそりと隠していた手紙を見つける。